脳の中の「私」はなぜ見つからないのか?

出典: 涼ペディア

書籍名 脳の中の「私」はなぜ見つからないのか? ~ロボティクス研究者が見た脳と心の思想史は、ロボティクス研究者である前野隆司が「意識」というテーマを軸に思想史から科学を俯瞰した科学・思想書。


受動意識仮説の要約

p68~p69

(1)「無意識」というシステムは、「意識」によるトップダウン的な決定に従って仕事をする追従的なシステムではない。むしろ、部分部分のモジュールが独立してそれぞれ得意な情報処理を同時におこなう超並列計算機である。四方八方のモジュールから湧き上がってきたさまざまな自律分散的情報処理結果のうち、特に目立つもの(たとえば発火頻度が高い神経集団が生成した情報)が民主的に選び出されてまとめられて「意識」に転送される。

(2)一方、「意識」という機能は、脳の重要事項の決定を一手に担うリーダーではない。むしろ、無意志的情報処理の結果を受け取って、あたかも自分が注意を向けて自分の自由意志でおこなったことであるかのように幻想体験し、その体験結果をエピソード記憶に転送するだけの、受動的・追従的な機能を担うシステムである。また、意識体験は、小びとたちの並列的な体験よりも単純で直列的である。

(3)つまり、心は民主主義社会のようなボトムアップシステムである。

(4)そして、意識の現象的な側面は、幻想のようなものである。

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